15 6月

「愛と心の歩調」

ある日の夕方、ちょうど信号が赤になり青になるのを待っていた。
その時、横断歩道を渡ろうとする二人の歩く姿に目がとまる。夫婦ではなさそうだ。杖をついてゆっくりとユックリと歩く老女の歩調にあわせて歩く相方に何故かしばしくぎづけになった。息子さんのようだ。そのゆっくりと、ユックリと歩く息子さんの歩調は歳と共に与えられる限界にあわせた絶妙な歩き方である。
愛と心、そして、尊敬がそえられた歩調に私の疲れが癒される光景となる。私には、弱い立場にある人達の人生の歩調にあわせた生き方をあらためて教えられた瞬間となった。後ろの車のクラクションで我にかえり、車を走らせた。