24 4月

「最後の優勝ランナー」

私の高校生最後の思い出をここで伝えたい。
私の高校では、全校生参加のマラソン大会が毎年一回開催された。
私は高校三年生。私にとっても最後のマラソン大会となる。
大抵、マラソン大会では陸上部の選手が優勝するというのが普通のことだった。ところが、陸上部でもないある一人の高校生が我々の中で話題になっていた。
その理由は、「俺にとっても高校生最後のマラソン大会だ。絶対に優勝してやる。」
つまり、一番になって、ゴールテープを突き抜けるという話を教室でしていたのが噂になり、みんなが唖然としていたのを思い出す。
普段はおとなしく、どちらかと言うと無口な方である。その彼がそんなことを言うから、からかう人や相手にしない人、むしろ、笑い話の一つにする人たちもいた。
マラソン大会の当日がやってきた。当然のようにみんなが陸上部の誰かが優勝すると思っていた。
ところが、結果は、「俺は一番になって優勝してやる。」と言っていた彼が本当に一番となり、高校生最後の優勝ランナーとなった。それも有終の美を飾って。
聖書には、「先の者が後になり、後の者が先になる。」という言葉が記載されている。
この言葉が語られる文脈は違えど、本質は同じではないかと思うのは私だけであろうか。
最後に伝えたい。我々は、知らなかったが、有終の美を飾った彼は、実は、我々の知らないところで並大抵ではおさまらない想像を超えるトレーニングをし、努力していたことを後で知る。
誰と比べる訳でもない。誰を気にする訳でもない。「私は私のためにやったこと」だと、私は理解している。
この話を聴くみなさんは、どのようにうけとめるかな。