7 8月

「癒し人」

私は、神学生時代に『傷ついた癒し人』という本を読んだ記憶がある。あれから20数年以上過ぎて、内容はほとんど忘れてしまった。にもかかわらず、何故かその本のタイトルが私の心から離れない。この本の意図とする内容は別として、『傷ついた癒し人』が人の傷を癒すことができるのか。私の永遠のテーマである。隣人の傷口を縫い合わせていく業は何十年かけても、そんなに簡単に成せることではない。まして、自らの傷口を縫い合わせていくことなしに成し得る業でもない。私の人生から、私の心から離れない『傷ついた癒し人』とは誰か。
…沈黙者を見上げて、胸に十字をきって祈りに伏す。